中高6年間を満喫しよう!~学校生活~
「高大連携」にとらわれず
出会いの豊富さで学校を選んで
高橋石川先生から見て、中高のキャリア教育に求めること、重要だと思われる点を改めてお聞かせください。
石川現在は科学技術が社会を牽引する時代です。ますます多様化、細分化、短命化する科学技術に対応するためには今の科学技術を理解し、推し進める①今を育む力(専門教育) ②次を生む力(アントレプレナーシップ) ③変化に耐え抜く力(専門基礎教育)の3つの力が必要です。個人に全てを求めるのではなく、一人ひとりが得意なところを担当し、日本全体に3つの力が分布されていることが大切です。大学では①②③の全てを教えているわけですが、中高では①を中心にアントレプレナーシップや専門基礎教育の重要性を説くなど、②③も必要であることを理解してもらう教育を展開していただきたいですね。
また、先ほどの「正しい失敗」と「健全な怪しさ」は、中高時代にこそ経験してほしいもの。生徒が失敗した時は、先生方にどんどん褒めていただきたいですね。中高では「健全な怪しさ」をもつことに挑戦し、失敗した時にそれが正しい失敗なのか理解できる経験を積むことが重要だと考えています。
高橋探究学習などは失敗のための絶好のチャンスですね。今の大学生は早いケースでは2年次より就職活動が始まりますから、意外に時間がありません。探究学習で「正しい失敗」を経験できることは、中高一貫校のメリットだと感じます。
石川そうですね。ただしひとつ強く思うのは、正解のある課題に対して答えを見つける過程を「探究学習」と呼ぶのはやめていただきたいですね。答えのない課題について考え、研究することが探究であり、あらかじめ設定されている答えを見つけるのでは従来の勉強と変わりません。
高橋おっしゃるとおりですね。高大連携や大学付属校の在り方が多様化し、探究学習の「質」が問われる時代になっているからこそ、キーワードだけにとらわれず、その中身をしっかりと見極めることが大事です。
例えば、女子学院(東京都港区・女子校)や海城(東京都新宿区・男子校)などは、生徒自身がさまざまな挑戦のために外へ出ていくことを応援する雰囲気があります。豊島岡女子学園(東京都豊島区·女子校)も高大連携の取り組みに加え、海洋研究開発機構と連携し、課題探究プログラムを展開しています。
学校選びの際は「高大連携をしているか否か」ではなく、「社会との出会いの場や興味・関心を広げる機会が設けられているか」という視点を持つとよいでしょう。生徒のやりたいことを尊重して外へ出ていくことを後押ししてくれる学校や、石川先生がおっしゃるような「健全な怪しさ」に挑戦できる機会を豊富にもっている学校が、お子さんにとって“いい学校”になるはずです。
また、キャリア教育の重要性が浸透している昨今、将来について考える時期がどんどん前倒しになる傾向も見られます。ポテンシャルにあふれている小中学生は、どのように将来について考えればいいのでしょうか。受験生保護者にメッセージをいただけますか。
石川おそらく、多くの親御さんが思い浮かべるお子さんの将来というのは「こんな職業を選んで、ああいう会社に入って、こういうキャリアを積んでほしい」という具体的なビジョンでしょう。ただし、変化が激しく仕事を取り巻く状況もどうなるのか見通せない今の時代、そうした具体的なビジョンは崩れてしまう場合も多いと思うのです。ですから将来を考える際は具体的な職業よりも、自分が何を楽しいと思っていて、何をしたいのか、どのように社会貢献し、どんな生活を送りたいのか、人生や「生き方」の方向性を考えるとよいのではないでしょうか。例えば「銀行で働く」という仕事そのものは「経済の活性化に貢献したい」という生き方に変換できます。すると金融系のフィンテックなど選ぶ仕事の幅も広がります。進路のバリエーションが増えると、自ずと学ぶべきことも見えてくるでしょう。変化の激しい今の時代には、柔軟な考え方をもつことが大切です。「高大連携」や「キャリア教育」などは、やりたいことを選択し、生き方を考えるチャンスになると捉えればよいでしょう。
また、何かあった時に人生最大の拠り所になるのが「自分で決めたことだから」という言葉です。たとえうまくいかなかったとしても、自分で決めてきたことを肯定するのは慰めになり、新しい道を選び直すための強さにつながります。あまり早期に決断する必要はないと思いますが、やりたいこと、モチベーションになること、人生をこうしたいというビジョンを徐々に固めていって、“自分で決める”過程を大切にしてほしいですね。









