私立中高進学通信
2025年7月号
未来を切り拓くグローバル教育
かえつ有明中学校
英語で教養を競う「WSC」
世界へ羽ばたく入り口に
首都圏の中高生が英語で教養を競い合うWSC2025東京大会。
同時期に開催される九州大会、関西大会と合わせて上位40チームほどが
韓国、バンコク、ドーハなど世界数カ所で開催される世界大会への出場権を獲得します。
上の写真は各校から選出された優秀ディべーターが論戦を繰り広げる「Debate Showcase」の様子。
毎年多くの生徒が「WSC」に参加している同校。2025年度は東京大会を自校で開催し、出場だけではなく、運営にも多数の生徒が関わりました。グローバルな学びと成長の現場をレポートします。
WSC東京予選を
かえつ有明で開催
国際交流部長/イアン・ダニエルズ先生2025年5月5日・6日の2日間、かえつ有明にて、世界中の小中高生が英語で教養を競う「The World Scholar's Cup」(以下WSC)の東京大会が開催されました。参加者は首都圏の約20校450名。3人1組のチームでエントリーし、文学・科学・数学・芸術など幅広い分野の知識を競いました。上位入賞チームは世界大会に進み、さらに勝ち進むとアメリカ・イェール大学で開催される決勝大会に出場することができます。
同校は帰国生が全体の3割を占め、ネイティブ教員による世界基準の英語教育を実践しています。英語力の向上だけでなく、論理的思考力や発信力、探究心も重視した教育を行っており、WSCは生徒たちがこれらの力を発揮する絶好の機会となっています。
「本校からは、高い英語力をもつ生徒が対象の英語クラス『Honors』で学ぶ生徒を中心に、中2から高2までの49名17チームが参加しました。WSCの大きな魅力は、世界中から集まる同世代の生徒たちと議論し、自分の視野や彼らとのネットワークを広げられる点にあります。
昨年の決勝大会まで勝ち進んだ本校生徒のなかには、大会後も他国の生徒と交流を続けている生徒や、海外大学への進学を決めた生徒もいます。こうしたグローバルな経験が、将来の進路選択にも活かされています」と、WSCの運営委員であり同校の国際交流部長のイアン・ダニエルズ先生は話します。
生徒の可能性を広げる
ハブとして機能する学校に
大会では、チームで協力して1時間以内にエッセーを完成させる「Collaborative Writing」、120問の教養問題に挑戦する「Scholaŕs Challenge」、与えられたテーマについて他チームと即興で討論する「Team Debate」などの競技が行われます。同校の生徒たちは、大会の数カ月前にWSCから配布される資料をもとに学習し、ディベートの訓練など、入念な準備を重ねてきました。
ディベートでは、「絶滅した動物を復活させ、食肉として扱うべきか」といった普段考えないようなテーマが出題されます。15分間でリサーチと戦略を練り、その場で議論に臨むため、チームワークや即応力も問われます。仲間と切磋琢磨し、互いの強みを引き出しながら弱点を補い合う過程は、協働の精神と思考力を育む、またとない成長の機会になっています。
「勝ち負けよりも、チームで何かを成し遂げる経験こそが大切です。こうしたイベントに参加することでネットワークも自らの可能性も広がります。昨年の決勝大会に参加した生徒たちは、ディベート部を立ち上げたり、他校と協力して海外大学進学説明会を企画したりと、自ら新しい挑戦を始めています。
本校は、こうした生徒たちの成長とつながりを支える『ハブ』として、今後もさまざまな機会を提供し、生徒の秘めたる能力を引き出していきます」
各教室では、与えられたテーマを即興で討論する「Team Debate」が行われました。
与えられたテーマについて、1時間以内にハイクオリティなエッセーを完成させる「Collaborative Writing」。
競技の後は各校の有志生徒が特技を披露する「Scholar’s Show」を開催。同校の生徒もダンスを披露。
大会最後の授賞式ではHさん(中央)ほかTさん(右)、Kさん(左)をはじめ、多数の生徒が受賞しました。かえつ有明の生徒が優秀ディべーターに選ばれました
『高校新クラス』(※)で培ったディベート力が
世界に伍すると実感
Hさんは他校の選出者とチームを組み、「一極集中を避けるために東京のような大都市は2分割されるべきか」をテーマにディベートを行いました。全チームがディベートを競い合う「Team Debate」で優秀なディベーターに選ばれると、他校の生徒と即席のチームを組み、ステージ上でディベートを行う「Debate Showcase」に出場できます。今年度は同校のHさん(高2)が選ばれ、多くの観客の前で論戦を繰り広げました。
「『Debate Showcase』に選出されるとは思っていなかったので、夢のようでした。初対面の他校の生徒とチームを組んで、そのレベルの高さに驚き、刺激も受けました。
私は小学校までオーストラリアとカナダで過ごした帰国生です。中学時代は人見知りでしたが、高校で対話を多く取り入れた授業が特徴の『高校新クラス』に進み、社交的な友人たちと出会い、意見を交わし合う授業を通じて、積極的になりました。
ディベートが得意になり、昨年のWSCでも決勝大会まで進出できました。海外のネイティブの生徒が相手でも、新クラスで培ったディベート力とプレゼン力で互角に戦えると確信しました。今年も決勝大会出場をめざします」(Hさん/高2)
※高校新クラス…2015年度に創設された、生徒と教員が対話的に授業をつくるクラス。さまざまなプロジェクトを立ち上げ、ディベートやプレゼンをふんだんに盛り込んで、協働し対話しながら学びを深めています。
生徒インタビュー
WSCは人生を変える
エキサイティングな経験!
高3のTさんとAさんは、2024年度WSC東京大会で優勝し、韓国での準決勝大会を勝ち進み、アメリカ・イェール大学で行われた決勝大会にも進出しました。2025年度東京大会では、運営スタッフとして説明会の開催や当日運営を担ったお二人に、WSCの魅力について聞きました。
――参加したきっかけは?
Tさん
前年に出場した友人から、とても楽しかったと聞いていました。私はシンガポールからの帰国生なので、英語力を活かしたくて参加しました。
Aさん
私は小1から中2までアメリカに住んでいて、ディベートをするのが日常的な環境でした。「またディベートができる」と思い、参加を決めました。
――準備はどのようにしましたか?
Tさん
大会の数カ月前にWSCから学習素材が送られてきて、事前に幅広い分野を学習しました。文化・芸術や人文科学、数学や物理などかなり広範囲でしたが、知識が広がり勉強が楽しくなりました。
Aさん
WSCには3人チームで参加したのですが、よく集まってディベートの練習をしました。練習を重ねるうちに、自分は論理的な説明が得意だと気づき、反論パートを担当することに。
Tさん
私は冒頭で人を引きつけるプレゼンが得意だとわかり、導入部分を担当しました。参加して良かったのは、自分の強みを自覚できたこと。そして世界中の優秀な中高生とネットワークを築けたことです。決勝大会で友達になったケニアの学生とは今も交流が続いています。
Aさん
TED TALKに出場経験のある東欧の学生とも知り合いました。こうした出会いもWSCの魅力の一つです。決勝大会で世界トップレベルの学生たちと競い合えたことは刺激的で、それを機に海外大学進学をめざすようになりました。
Tさん
私もWSCへの参加を通じて、海外の大学で人類学を学びたいと思うようになりました。WSCへの参加や運営スタッフとしての活動は、大学出願にも活かせます。この素晴らしい経験を、ぜひ多くの後輩にも味わってほしいです。
高3のTさん(左)とAさん(右)が着用している運営ポロシャツのロゴイラストは、Tさんの手によるもの。
2024年度の決勝大会へ挑んだ際には、アメリカの大学見学も行いました。(この記事は『私立中高進学通信2025年7月号』に掲載しました。)
かえつ有明中学校
〒135-8711 東京都江東区東雲2-16-1
TEL:03-5564-2161
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